「脚ブロック」と「脚ブロック波形」
心電図新世界セミナー谷口総志です。
PVCは幅が広いQRS波になるのが
特徴でした。
参考記事:PVCのスコトーマ
その理由は前回説明しました。
参考記事:QRSの幅が広がるのはなぜ?
幅の広いQRS波を総じて『脚ブロック』と
呼びます。
「脚」とは右脚・左脚の「脚」です。
「脚ブロック」はブロックと名がついていますが、
房室ブロック(A-Vブロック)とは、
意味合いが違います。
参考記事:ブロックのブロックを解除する
この「脚ブロック」とは
二本あるうちの一本の「脚」の
伝導障害です。
右脚に伝導障害があれば「右脚ブロック」
左脚に伝導障害があれば「左脚ブロック」
単純な構造です。
幅広くなるのは
右心室と左心室が同時に収縮できないから。
つまり左と右で収縮するタイミングが
ずれてしまうためにQRS波は幅広になります。
当然ですよね。
本当だったら右心室と左心室には
右脚と左脚を通って同時に刺激が伝わり、
同時に収縮するのですが、
どちらかの「脚」に伝導障害、
つまりブロックが起こると、
刺激の伝わり方にムラが出てしまいます。
このムラが収縮時間のムラを生み
結果的に同時に収縮できなくなるのです。
この辺のメカニズムは前回説明しました。
参考記事:QRSの幅が広がるのはなぜ?
ということは、
幅が広いQRS波はすべて「脚ブロック波形」となります。
そんな観点から、もう一度PVCを見てみましょう。
PVCは脚ブロックではありません。
心室☆から異常刺激が出てしまいます。
上の絵を見たとき、
例えば、右心室から異常刺激☆が出てしまうと
右心室と左心室ではどちらが先に収縮してしまうでしょう?
右心室から刺激が出ているのですから
右心室が先に収縮します。
そして、遅れて左心室が収縮する。
これは時間差という視点で見ると
「脚ブロック」の時と同じ構図ですね。
右心室と左心室の収縮時間に差が出てしまった波形を
「脚ブロック波形」と呼んでいます。
「脚ブロック」とは、
脚の伝導障害ですが、
「脚ブロック波形」とは
左心室と右心室の収縮に時間差ができる状態を
総称しているのです。
ということは、幅広のQRS波は
すべて「脚ブロック波形」なのです。
さて問題です。
あなたはこの波形をどう解釈しますか
<不整脈問題019>
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