伝わらない刺激
心電図新世界セミナー谷口総志です。
刺激伝導系の最大の目的は心室を動かすことです。
洞結節から出た刺激が心室に伝わります。
刺激伝導系がその目的を果たせなくなったとき
刺激伝導系のトラブルのとき
つまり心室に刺激が伝わらないとき
心室はどうするのか?
その答えが<不整脈問題4>です。
見ていない方は前回の記事を見てくださいね~
さて、
<4-1>P波は何個ありますか?
5~6個見えたのではないでしょうか?
(ここの解説はいったんお預けです)
<4-2>P波に続くQRSはありますか?
少なくともすべてではありませんね。
P波の数に対してQRS波が少ないです。
この時点で房室ブロックであるのが決定的です。
つまりⅡ度かⅢ度の房室ブロックです。
<4-3>PQ時間は一定ですか?
一定ではありませんね。
PQ時間はバラバラです。
PQ時間が一定でない時点で
Ⅱ度の房室ブロックではありません。
PQ時間が無関係でPQ時間もバラバラ
この不整脈はⅢ度の房室ブロックです。
Ⅲ度の房室ブロックは刺激伝導系が完全に切れている状態です。
洞結節からの刺激が心室に伝わらない状態なのです。
別な視点で考察すると
「洞結節は正常だけど、その下のトラブルで伝わらない」と言えます。
つまり洞結節からの刺激は一定間隔で出ているということになります。
それではこの観点から
<4-1> P波は何個ありますか? の答えを導き出しましょう
「Ⅲ度の房室ブロックが決定的」
「刺激を出す洞結節には異常がない」
上記の2つから洞結節の間隔は一定という仮定を導き出します。
どうですか?
はっきりP波として認識できませんが、
QRS波やT波の所にP波が見え隠れしています。
「P波の間隔は一定である」という仮定が立証できそうです。
Ⅲ度の房室ブロックはP波とQRS波はバラバラです。
よってP波が出るタイミングでQRS波が出たりもするわけですね。
ただ単にP波とQRS波が重なって見えていないだけです。
<4-1> P波は何個ありますか?
の答えは9個ということになります。
ただ、
ただ、
ただ、
臨床でP波が何個あるかなんて特に問題にはなりません。
大事なのは
Ⅲ度の房室ブロックに気付くということです。
刺激伝導系がどこかで完全に切れている状態です。
洞結節からの刺激が心室に伝わらないのですね。
何回も言いますが
刺激伝導系の最大の目的は心室を動かすこと
つまり、心室に刺激を伝えることです。
その刺激が伝わらないⅢ度の房室ブロック
でも
QRS波はありますね。
刺激は心室には伝わっていないのに
QRS波が出てるのはなぜでしょう?
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