PVC(心室性期外収縮)は出世魚
心電図新世界セミナー谷口総志です。
<不整脈問題10,11,12>の解説です。
参考記事:PVCの循環動態
簡単です。
これらはすべてPVC(心室性期外収縮)です。
ただ、
PVCはその出方で名前を変えます。
この名前を覚えることは必須ではありません。
要は危険かどうかを
見分けられれば良いです。
例えば<不整脈問題10>
一拍おきにPVCが出ていますね。
よって伝える時は
「一拍おきにPVCが出ています」
で良いわけです。
ただそれを「言語」という共通認識を人間が創りだしただけです。
だからその様子が伝われば言語は必須ではないわけです。
しかし、その「言語」を使えば効率よく表現できます。
前置きが長くなりましたが、
必須ではないことを伝えたかっただけなので
あまり気にしないでください(笑)
気を取り直して
<不整脈問題10>
正常波形とPVCが交互に出ていますよね。二拍中1回がPVC
これを『二段脈』と呼びます。
よって答えは『二段脈』となります。
さらにこれを英語でいうと
Bigeminy (バイジェミニ―)
英語で言ったらちょっとオシャレですねー(笑)
<不整脈問題11>
正常波形2拍に対してPVCが1拍でています。三拍中1回がPVC
これを『三段脈』と読んでいます。
よって答えは『三段脈』です。
英語で言うと
Trigeminy (トリジェミニー)
PVCの循環動態は正常ではありません。
ということはPVCが出れば出るだけ循環動態は不安定になります。
参考記事:PVCの循環動態
不整脈問題10と11ではどちらが不安定かって言うと……
数に依存です。
PVCは心臓機能が効率的に働きません。
心拍数的には一回でカウントされますが、
循環動態的にはゼロ回です。
ということは
<不整脈問題10>は心拍数が90回でも、
循環動態的、つまり体にとっては45回です。
半分がPVCですから。
ただこれは、交互に出ているため循環は45回/分で最低限保たれてます。
交互だからです。
<不整脈問題12>です。
これはPVCが連続5拍です。
答えはPVC5連でも間違いありませんし意味も解ります。
「PVC5」が出ました~」
OKですがこれも言語化されています。
Short run (ショートラン)
と呼べばちょっとかっこいいですね~
ただそれだけです。
厳密に言えば心室性頻拍(VT)に属します。
PVCが3発以上で30秒以内に自然に止まるものを
非持続性心室頻拍 (nonsustained ventoricular tachycardia : NSVT)
と定めてあります。
定めてあるだけです。
要は伝わればいいですから~
Short runにも厳密な決まりはありませんが
だいたいPVCが3拍~6拍ぐらいをそう呼んでいます。
よって臨床的には
PVC……1拍
PVC2連……2連拍
Short run……3~6拍
NSVT……7拍以上で自然に止まる
VT……PVCが続く
みたいに使い分けた方が伝わりやすかったりします。
出世魚みたいなもんですね~(笑)
(これだけに囚われると心のブロックになっちゃいますよ~)
何回も言いますが単なる言語ですので気にする必要はないです。
要は何が危険かを察知しそれを伝えることが必要です。
PVCは循環動態的には1拍となりませんので
心臓が止まってると考えましょう。
ということは
PVCが続けば続くほど危険度が増すというわけです。
次回はもう少し掘り下げて
この危険度を循環動態から感じてみましょう!
危険度を察知する能力が上がりますよ~
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